【緑の庭】牧野植物園便り

2012.4.10  

Makino Botanical Garden News


佐川に生まれた日本植物分類学の父

江戸から明治、大正、昭和を生きる

特殊切手「牧野博士生誕150年」も発売
夏井 操

 
  2012年4月24日は、牧野富太郎博士が生まれて150年目にあたる日です。
 牧野博士は文久2年(1862年)4月24日、高知県高岡郡佐川町たかおかぐんさかわちょうで生まれました。へその緒が入っていた袋には4月26日と書いてあり、戸籍では22日となっていますが、牧野博士自身は4月24日と公表していました。
 牧野植物園も生誕を記念し、4月24日は無料開園をし、また日本郵便からは記念の特殊切手「牧野富太郎生誕150年」が全国の郵便局で発売される運びになっています。


佐川町遠景

■激動の時代を生きる

 牧野博士が生まれた、そのちょうど1カ月前の旧歴3月24日、坂本龍馬が脱藩しており、この頃は幕末の志士たちの激動が始まる時でした。そして牧野博士は江戸時代〜明治、大正、昭和を生きた植物学者ということになります。
 先日の2月26日、牧野植物園の財団会員を中心に募集したツアーに添乗してきました。牧野博士の郷里佐川町周辺を歩くツアーです。
 午前中は個人の持ち山を散策させていただき、咲き始めていたバイカオウレン(vol.19をご覧ください)を見ることができました。佐川町役場では、昭和天皇に御進講をした時に着たモーニングや博士がかけていた眼鏡、愛用の描画道具や根掘りといった遺品のほか、原稿や植物図、手紙などが展示されており、博士の息遣いを感じることができました。 


バイカオウレン

■「ようきた、ようきた」と牧野博士

 午後から行った金峰神社きんぷじんじゃは、牧野博士の生家跡のすぐ横に裏参道があり、急な階段の上り口には、博士が小さい頃、石で周りをへこませた手水鉢がそのまま残っています。神社に参詣し、細い参道を散策して表参道の鳥居に降りると、牧野少年が訪れた青源寺せいげんじがあります。
 青源寺は深尾氏の墓所である由緒正しい寺で、寺の由来の話などを和尚から聞き、高知県指定の名勝で土佐三名園とされる苔むした趣のある庭園を見学しました。


金峰神社


手水鉢

 続いて博士の名前を冠する牧野公園へ行き、分骨された墓に向かいました。持ってきていた花を供え、墓前で手をあわせると、博士が「よう来た、よう来た」とにこやかに語りかけてくれたような気がしました。
 桜がたくさん植えてあるので、4月上旬には花見の客でにぎわうでしょう。酒はたしなまない博士ですが、賑やかなのは歓迎されそうです。


■佐川に残る白壁の街並み

  ツアーは、幕末に活躍した佐川出身の政治家、田中光顕たなか みつあき(青山)の資料を展示する青山文庫や佐川町に残る白壁の街並みを歩き、穏やかでゆるりとした時間を過ごしました。
 牧野博士はこの佐川町で幼少期を過ごしました。からだが弱かった少年は、佐川町の人々と自然に育まれ、「日本の植物分類学の父」とまで呼ばれるようになりました。土佐っぽの気質をそのままに94年の生涯を走り抜けた博士。その笑顔の源は佐川町にあるようにも思えました。

 3年にわたり、牧野博士とゆかりの植物について、思うままに書かせていただきました。私自身、大変勉強させていただき、以前よりもっと牧野博士のことを知りたくなりました。読んでくださった皆さんも、牧野富太郎という人について興味を持っていただければ、これ以上の喜びはありません。五月以降は別の担当者にバトンタッチいたします。

(高知県立牧野植物園学芸員)




▼インフォメーション

■企画展ご案内

○開催中の企画展○
7月16日(土)〜4月8日(日)
「植物を知ろう!」

○次回催しのご案内○ 
3月3日(土)〜6月10日(日)
牧野富太郎生誕150年記念
「五台山花絵巻 参の巻 〜春の彩り・花皿鉢〜」

▼牧野富太郎生誕150年記念展開催決定!
「植物学者・牧野富太郎の足跡と今」開催
主催/財団法人高知県牧野記念財団
    独立行政法人国立科学博物館
 
高知展(高知県立牧野植物園):2012年6月16日(土)〜9月23日(日)
東京展(国立科学博物館):2012年12月22日(土)〜2013年3月17日(日)
www.makino.or.jp
高知県立牧野植物園

 牧野植物園は、高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として、昭和33年(1958)に、高知市五台山に開園した施設です。平成11年11月には「牧野富太郎記念館」が開館しています。
 園内には博士を生む土壌となった高知県の植物を中心に、博士ゆかりの植物など約3,000種が四季を彩られています。
 また、植物園機能とあわせて、貴重な資料を紹介する展示、研究、生涯学習の場を提供する施設などを収めた博物館が同居する総合施設は、国内では他に例がないと思われます。さらに、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受けています。

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