ブックレビュー
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小選挙区制は日本を滅ぼす
「失われた二十年」の政治抗争

著者 浅川博忠
講談社(222ページ、1400円、税別)





定数3の中選挙区を提唱


小選挙区比例代表並立制と政党助成金の導入から20年近くたった。「政治と金の問題が減った」と評価もあるが、「政治家が小粒化、サラリーマン化した」との評価の方がよく聞く。

先の衆院選(定数480人)では、新人議員が184人誕生。自民党の世襲議員は294人中89人となった。珍事も起こり京都1、東京2,5,19区では、「小選挙区で落選、比例で復活」など、有権者の投票を軽視する現象も出ている。 

著者はこの欠陥を克服するには、自党同士でも競争する定数3人の中選挙区制に改めるしかないと、提唱する。   

評者は同じ小選挙区制を採用する英国の東京特派員に聞いたら、「小選挙区でもチャーチルやサッチャーを生みました。ただ同一選挙区からは3期まで、世襲は禁止だが、選挙区を変えればOK」だそうである。

政党助成金は、これまでに総額5996憶円以上、各党(共産党は拒否、その分は各党に配分)に支払われた。実はこの2つの制度で、党執行部の影響力は格段に強まり、骨っぽい人材が出にくくなったといわれる。

政治家1人に年間、税金が1億円投入される日本の議員は世界のトップクラスの待遇だ。「君子清貧」という故事があるが、小選挙区制と厚待遇が相乗効果で議員のサラリーマン化を促しているのかも知れない。

 


  2014年7月22日(火)

栗原 猛(くりはら・たけし)
朝鮮生まれ。新聞社記者を経て、マスコミ志望の学生と活動中。著書は「改革はなぜ進まないか」、編著に「私の後藤田正晴」「評伝 奥野誠亮」など。趣味は古寺古社めぐり。
    
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