ブックレビュー
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「日本経済図説」 (第4版)
  
著者 宮崎勇 本庄真 田谷禎三
岩波新書(800円、税別)




グローバル経済を平易に説く


 グローバル化、規制緩和、少子高齢化、雇用環境の変化など、国際、社会環境は激変している。日本経済には、いまどのようなかじ取りが必要なのか。

 世界経済の現状を10章に分け、各項目に見開き2ページで左が図表、右が解説文という構成で、豊富なデータを取り上げて、分かりやすく解説する。10章とは、経済発展の軌跡、人口・国土・環境・国富、食生活と第1次産業、雇用・労働、金融・資本市場、財政、国際収支、日本経済の展望―などである。

 高齢化がかなりのスピードで進んでいる。長寿は結構なことだが、高齢者や幼少者など扶養すべき非生産年齢人口の割合も上昇中だ。そこでまず「人生50年」型から「人生80年」型に、人生設計を切り替える必要があると説く。

 内閣府の調査によると、65歳以上でも働きたいという回答は70%を超える。欧米に比べて働く高齢者が多いのは、働かなければならない事情があるからだが、就業機会を求めている若者を圧迫しないような制度設計も必要だとする。

 こうした中で、日本の輸出先は、2010年からアジアが過半数を占めた。輸出総額63、9兆円のうち34、9兆円はアジアで、中国11、3兆円、韓国5、0兆円、台湾3、8兆円、タイ3、6兆円の順だ。北米は12、2兆円である。

 日本の貯蓄率は欧米に比べて高いといわれたが、ここにきて減り続けている。高度成長は高貯蓄率が背景にあっただけに懸念材料である。

 日本の税制だが個人税、法人税を基幹として間接税は補完する形をとってきた。ところが累進課税や租税特別措置など、勤労者に重税感や不公平感が強まっている。税制の簡素化と公平化、所得の捕捉と徴税、予算執行の合理化などが喫緊の課題である。

 財政法4条で政府は赤字国際を発行できないと厳しく戒めている。ところが、国債発行残高は1000兆円を超えた。数値目標を立て削減努力が必要だと強調する。ただ天文学的な数字になる前に政治も官僚も抑止できなかったのか、悔やまれる。

 日本の防衛費は4兆7千500億円で、フランスやドイツを上回っている。軍事技術もトップクラスにあり、著者は「経済にとっても(防衛費を)増やすことが賢明な選択だとは思われない」と指摘。

アベノミクスは、景気や株高に関心が向けられているが、東京オリンピックの公共事業などで、債務残高がさらに上積みされないか、財政の無駄をなく努力をする一方、財政改革への監視もますます大事になる。


  2013年11月12日(火)

栗原 猛(くりはら・たけし)
朝鮮生まれ。新聞社記者を経て、マスコミ志望の学生と活動中。著書は「改革はなぜ進まないか」、編著に「私の後藤田正晴」「評伝 奥野誠亮」など。

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