ブックレビュー
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  「論語入門」
  
  著者 井波 律子  

    岩波新書 (800円 税別 




現代に生きる原理原則を伝授


 論語といえば古典の中の古典だが、近寄りがたいイメージがある。ところが本書は論語の面白さ、不遇にあっても明るく伸びやかな孔子の魅力を存分に活写している。

 中国では最近、論語を見直す空気が広がり、北京のオリンピックでも、「朋あり、遠方より来たる、亦楽しからずや」「己の欲せざることを人に施すこと勿かれ」―などが、大会場に飾られた。

 孔子は紀元前497年弟子たちを連れて、生まれた国、魯を離れ自らの政治理念受け入れてくれる君主を求めて諸国をめぐる。だが乱世で孔子の理想を受け入れる国はなかった。14年あまりの遊説の途中には賊に襲われたりするが、不屈の精神力で理想社会を目指して旅を続け、晩年は故郷に帰って子弟たちを教えた。

「不義にして富み且つ貴きは、我に於いては浮雲の如し」
「士は以て弘毅ならざる可からず。任重くして道遠し」
「過てば則ち改むるに憚(はばか)ること勿(な)かれ」

 政治や行政の分野で忙しい面々にも、是非味わって欲しい語句だ。いかに生きるべきか、原理原則が発見されるはずである。

 数年前、山東省曲阜にある孔子廟などを訪ねる機会があった。弟子たちは孔子が亡くなると3年間、孔子の墓のそばで喪に服したが、高弟の子貢はさらに3年喪を続けた。その子貢が住んだレンガ造りの古びた建物が墓のそばにあった。当時のものか聞いても分からなかったが、いささか歴史の重みを感じた。     

 


  2012年6月12日(火)

栗原 猛(くりはら・たけし)
北朝鮮生まれ。終戦時、清津から3カ月間、徒歩で板門店へ。通信社記者を経て、マスコミ志望の学生と活動中。著書は「改革はなぜ進まないか」、編著に「私の後藤田正晴」など。


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