ブックレビュー
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  「下山の思想」
  
  五木寛之著  

    幻冬舎新書(740円 税別) 




下山の中に希望を発見しよう


 「下山の思想」というと、おやと思う人がいるかもしれない。登山に対する下山である。戦後60年、私たちは遮二無二、頂上を目指した。
ところが、頂上を極めたかと思ったら、こんどはその先に何をイメージしたらよいのか、方向を見つけ出せなくて、おろおろしているありさまだ。

著者は、現代は「登山より下山に大きな関心が集まる時代に入ったのではないか」とみる。
下山には落日とか斜陽とかマイナスのイメージがつきまとうが、決してそうではない。下山の途中で人々は、登山者の努力や労苦を再評価するかもしれない。遠くの海、町の風景、岩陰の草花などをゆっくり眺める余裕に気がつくに違いない。
自分の来し方、行く末に思いをはせる気持ちにもなる。沈む夕日には明日の希望につながる予感もある。下山の先にも新たなスタート地点があるー日本人の発想に転換を促す文明論でもある。


  2012年4月24日(火)

栗原 猛(くりはら・たけし)
北朝鮮生まれ。終戦時、清津から3カ月間、徒歩で板門店へ。通信社記者を経て、マスコミ志望の学生と活動中。著書は「改革はなぜ進まないか」、編著に「私の後藤田正晴」など。


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