ブックレビュー
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  「満天姫伝(まてひめでん)」
  
  高橋銀次郎著  

    四六判、上製、361頁、定価:本体1600円+税
  発行:叢文社
  ISBN978-4-7947-0678-2 C0093 




 前の会社で同僚だった高橋銀次郎さんが歴史小説で文壇デビューした。彼は日本経済新聞社、日経BP社で活躍、昨年、日経BPコンサルティングの社長を最後に引退。今年1月に処女作の「満天姫伝(まてひめでん)」を著した。引退前に休日を利用して取材、書き溜めていたのだった。その健筆ぶりに驚く。
 この作品を通じて彼は、こんなテーマが隠されていると語る。@「平和」は常に多くの犠牲の上に成り立っている。為政者はその犠牲を忘れてはならない。A権力者は小禄でなければならない。権力者が財を得れば、世の乱れのもととなる。B大切なものを守るには、強い人間でなければならない。
 今なお、相通じるテーマではないだろうか。是非、ご一読をお勧めしたい。以下は、ご本人からの紹介である。なお、発行元の叢文社のホームページには執筆用の旅日記があり、無料で読める。
                             (紹介者:荒井 久)


『満天姫伝』 
                     著 高橋銀次郎

   大切なものを守るため、私は闘う

  <あらすじ>
 戦国から江戸時代へ。時代が大きく転換する揺籃期に、愛するものを守るため幾多の苦難を乗り越え,幕府の苛烈な大名取りつぶしに抵抗して小藩を守った女性の物語。

 戦国末期、豊臣秀吉の死後、天下取りに乗り出した徳川家康は、豊臣政権内の混乱を狙って、秀吉の遺訓をわざと破り豊臣恩顧の大名、福島正則家と婚儀を結ぶ。家康の義弟の娘(姪)満天姫(10)は、福島正則の養嫡子正之(15)に嫁ぎ清州城に入る。天下分け目の関ヶ原の戦いで正之は家康も驚く戦法を駆使し、福島隊は合戦最大の功労者となる。
 恩賞で福島正則は広島藩五十万石を拝領、正之は16歳にして瀬戸内海の要所・三原城五万石の藩主となる。文武両道に優れた正之は治世にも非凡な才能を発揮し、領民から高い支持を受けるなど、夫婦の暮らしは順風満帆であった。
しかし幸せな生活は長くは続かなかった。突然の不幸が二人を襲う。公儀から当時禁制のキリシタンの嫌疑をかけられた正之に父正則は苦慮、正之を幽閉して公儀の矛先をかわすが、正之は餓死する。正之との間に生まれは幼児を抱え満天姫は関東・関宿城に出戻りを余儀なくされる。
 それから5年後の慶長18年(1613)、徳川政権安定のため豊臣家滅亡を決意した家康は、北の守りを強化するため、みちのくの津軽家二代藩主・津軽信牧のもとへ満天姫を再び輿入れさせる。2度目の政略結婚である。だが、子供を連れて嫁いだ先にはすでに『正室』がいた。しかも家康のかつての宿敵、石田三成の娘・辰姫である。老中・土井利勝の機転で辰姫は側室として遠ざけられ、満天姫は正室に収まるが、その後も次々と試練が満天姫を襲う。
 相次ぐ津軽の凶作、公儀による信濃移封命令、夫と辰姫の隠し子との世継ぎ争い、天守閣の炎上と再建、藩内の新旧抗争・・・。こうした苦難を持ち前の知恵で切り抜けていくが、最後には、福島家再興を図る正之との子・大道寺直秀を、津軽藩を守るため、自らの手で毒殺、公儀の苛烈な大名取りつぶしを阻止し、弱小藩を守り切る。
 泰平の世を作るため非情なまでの施策を打ち出す家康、泰平の世を守るために必死に戦った満天姫。叔父と姪ながら、時代の変革期、徳川政権揺籃期に生きた対照的な二人を通して泰平とは、平和とは何かを考える。



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