ブックレビュー
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  「財務省が隠す650兆円の国民資産」
  
  元大蔵省理財局資金企画室長
  高橋洋一著

  講談社(1600円=税別) 




まだまだムダ多く、スリム化が必要!

 著者の高橋氏は、予算に隠された「埋蔵金」の存在を指摘したいわゆる「埋蔵金発見者」でもある。
 その高橋氏が本書で「まだまだ税金のムダ使いや余ったお金が隠されている」と、次々にその具体例を挙げていく。
 まずわが国の資産は650兆円あり、米国の資産は150兆円だから日本は米国の4倍に当たる試算をもっているという。
 先進国の資産はその多くがGDPの10%程度だから、日本は群を抜いて資産が多い。「換金できないものもあるが、金融資産500兆円のうち現金、預金、有価証券、特殊法人への貸付金、出資金などの300兆円ほどはすぐに使える」という。

 次は国家公務員と地方公務員の総人件費は30兆円もあり、その2割をカットすれば、6兆円が浮く。
 民間では所得が下がっているこのご時世だから、公務員も協力しておかしくない場面だ。
 また、悪名高い特別会計では、財政融資資金特別会計に26・1兆円、国有林や事業特別会計に6・5兆円、労働保険特別会計に2・6兆円、空港整備特別会計に2・1兆円、自動車損害賠償保険事業特別会計に0・9兆円などがある。これを「特会にプールしておくとムダ使いされかねないので、国民のために使うべきだ」と高橋氏は提案する。
 ちなみに特別会計で運営されている特殊法人、独立行政法人はざっと4500。税金が12兆円投入され、そこに2万5000人が天下りしている。財政赤字930兆円の7割は特殊法人や独立行政法人が作ったといわれ、さらなるスリム化が不可欠だ。

 著者は、官僚がスリム化に猛反対するのは、「官僚の影響力がなくなり、天下りが難しくなるからだ」と分析する。
そのためのムダ遣いや運用の失敗のツケが国民に回されてはかなわない。
 財政難にあえぐ英国では航空母艦をネットオークションに出そうという話さえあがっている。
 財政改革やムダの撲滅には真剣になるべきだ。経産省の古賀茂明氏が「日本中枢の崩壊」を書くなど、日本のシステムそのものが改革すべき時期に来ているようだ。

(ジャーナリスト 栗原猛)


  2011年11月30日(水)

栗原 猛(くりはら・たけし)
北朝鮮生まれ。終戦時、清津から3カ月間、徒歩で板門店へ。通信社記者を経て、マスコミ志望の学生と活動中。著書は「改革はなぜ進まないか」、編著に「私の後藤田正晴」など。
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